死にきれない可能性を考慮する

 

不摂生な生活や刹那的な生き方をする人は決まって言う。

「長生きするつもりはない」
「○歳までしか生きるつもりはない」
「そのときは自殺すればいい」

でも、彼らは死ぬことのリアリティを理解していない。
現状と死の間にはグラデーションがあり、そのグラデーションは思いの外厚みがある。


日本で生活していると、生々しい死に直面することはあまりない。
死というのは現状からかけ離れた他国やフィクションの世界のものだ。


不摂生をしてある日突然死ねるなら、その生活も悪くないだろう。
でも、実際にそうなることは少ない。
徐々に病に侵されていき、ゆっくりと死に近づいていく。
暴飲暴食やODをすれば、肝硬変や腎不全になって苦しむ。


自殺をすればいい、と思っていても、本当に弱ったときに若く元気な頃の決意や行動力が残されているとは限らない。
そんな状態では自殺も完遂できるとは限らず、自殺に失敗して半身麻痺のまま生きることの辛さは想像を絶するだろう。


現状と死の間には、多層的で緩やかな死が積み重なっており、その存在を認識すると、健康的で節制した生活をすることがいかに楽で快適で割が良いかがよく分かる。

基本的に最も良い方針は、現状を維持するか、更に健康になれるように意識をするか、である。