ゴロフキンといえば、ブロッキングを使いながらプレッシャーをかけ続けるスタイル。
しかしフック系のパワーパンチャーというよりは、ジャブを主体に組み立てつつも、そのジャブや他のパンチが硬く重いというタイプだ。
アマチュアで積み上げた基礎をうまくプロのKO仕様にしていた。
それが最新の試合ではプレッシャーを弱め、足を使いながら攻守のバランスを取った駆け引きをするようになっていた。
ディフェンシブとまでは言わないが、攻撃の占める割合を減らしてディフェンスやカウンターを増やしていた。
このスタイルはvsカネロ2辺りで試みたスタイルだが、ここにきて完成度を一段と高めてきた。
元々kOやパンチ力に注目を浴びがちなゴロフキンだが、五輪銀メダリストだけあって技術レベルは非常に高い。
プレッシャーをかける攻撃的スタイルゆえに被弾はあるものの、モロにダメージを受けることはほとんどなかった。
受けるパンチの取捨選択がうまく、相手のパンチをブロッキングやヘッドムーブで僅かに芯から逸らすなど、そのディフェンススキルはとても高い。
またパンチの精度も高く、相手のガードの隙間を的確に狙う技術、ジャブの差し合いで優位を取るタイミングなどはやはり随一のものがあった。
今のゴロフキンはピークからみるとやや体が小さくなったものの、ディフェンスに意識を割いたおかげで被弾が格段に減った。
バックステップで躱しまくるゴロフキン、というのはあまり目にしてこなかった。
それに加えてカウンターが冴え渡っていた。
かつてのゴロフキンはプレッシャーをかければ相手の打つ手がなくなり、カウンターを打つ機会がそんなになかった。
最新の試合ではバックステップやプレッシャーをあえて弱めることで意図的に相手に攻めさせてからカウンターを合わせる場面がよく見られた。
もちろんプレッシャーをかけることもできるので、使い分けの幅をより有効に使える。
序盤KOや格下への圧勝というのは減るかもしれないが、いまのゴロフキンにはその手の価値付けは不要だろう。
昔よりも確実にやりにくく、おそらく強くなった技工派ゴロフキンのスタイルは非常に好みだ。
村田戦やカネロ3戦目が話題に上がっているが、個人的に見たいのはチャーロかアンドラーデだ。
ミドル級のダークホース扱いされ続けるも未だにトップクラスとの試合が組まれない攻撃型のチャーロとの激戦、ミドル級屈指の技工派アンドラーデとの崇高なテクニックの応酬、どちらもネットワークが違うものの実現してほしい一戦だ。