素人にも分かるように説明しろ、という話は無視して良い
素人にも分かるように説明しろ、という話をよく聞く。
でも、分かるように説明する必要は全くない。
なぜなら、彼らは不勉強なタイプの人間で、仮に分かりやすく説明したとして、今後なんのメリットももたらなさないからである。
勉強した上でAという点の解釈はBで合ってますか?とか、Cという点のDという意味が分からないので教えて下さい。
という質問ができる人は、少なくとも勉強をする人で、そういう人に教えれば今後さらに有益な話が展開できる可能性がある。
どこが分からないか、ということすら言わないで、もっと分かりやすく、なんて人は相手にする必要がない。
教師や営業職のような、専門家と素人を繋ぐ立場の人であればまた話は変わるけど。
頭のいい人は馬鹿にも分かるように話をする、というのも眉唾だ。
理解度が高いとかいつまんで話ができる、というのは正しいが、抽象化した概念をいちいち平易な表現に直して話すのはめちゃくちゃ時間がかかる。
幼稚園児に素因数分解を教えたり、集団的安全保障について教えることの難しさは馬鹿でもわかる。
専門用語というのは、短い単語の中に情報量を詰め込めて、齟齬なくコミュニケーションできるから存在するのだ。
こうした抽象化のおかげで、必要な情報のやり取りの手間と正確性が担保されている。
それを破棄して馬鹿にも分かるように、というのは、専門家の貴重なリソースの無駄遣いに他ならない。
追記:
きちんと説明して欲しい、という相手にはきちんと対価を払ってもらうというのが良い対処法だと思った。
ワインバーグのオレンジジューステストというものがある。
相手の求めるものに対して、安請け合いしたり、ハナから切り捨てるのではなく、このくらいなら受けてもいいという見積もりを提示する。
最も、ワインバーグは発注する側として、受注する側の見積もり能力を試すためにオレンジジューステストを使っている。
しかし、受注する側がいかに見積もりをして交渉するかのフレームワークとしても使える。
上の例で言うと、勉強してくる人に対しては、将来何かしらのリターンが得られると見込んで回答している。
ここでも利益を見込んで回答していると言える。
それに対して、勉強しない人から将来得られる利益はない。
けれど、ここに対してそれなりの対価を提示するならば、与えるものと受け取るもの釣り合いが取れるだろう。
ワインバーグのオレンジジューステストは非常に有益な考え方なので、今後は参考にしたい。