工藤会組長の死刑判決

暴力団工藤会の組長に死刑判決が出た。

ぼくは法律の専門家ではないし、暴力団を容認するわけではないのだが、この判決はかなり危ういのではと思ってしまう。

 

まず、暴力団では直接的な殺人指揮の証明ができないということで、間接的な証拠から殺人の指揮があったかを立証することになるということだけど、現在で少なくとも500人の構成員がいる組織で、暴対法の締め付けもなく緩かった1998年の事件当時、更に人数の多かったであろう組織で直接的にトップが細かい案件の指示を下すだろうか。

少なくとも、一般的な会社組織などであれば、中間管理職を含めてかなりの階層構造になっているはずで、細かい案件の仔細に至るまでトップが把握して指示を出すのは極めて難しいように思う。

 

この判決は、暴力団は壊滅させるという前提ありきで、かなり無理やりな判決を出しているように思う。

繰り返しになるが、ぼくは素人だし法律にも暴力団にも詳しくない。暴力団を容認しているわけでもない。

けれども、法の支配という観点からみると、被告の性質に合わせて判決に恣意性を持たせるというのは、組織の性質次第で量刑を増減させても良いということになる。

ぼくは、これに関してはかなり危ういことなのではないかなと思う。

もし暴力団排除を進めたいのであれば、現在の法律を無理やり解釈して厳罰化するよりも、立法を通して厳罰化すべきだと思う。

悪は滅ぼされるべきかもしれないが、どんな手段を使っても潰してやるというのは、法治国家としてあまりにもお粗末ではないだろうか。

 

500人以上の組織で、トップが案件の詳細まで把握して指示を出して当然であるということなら、その10分の1以下の組織でしかない政治家の秘書が勝手にやりましたというのは到底通用しない話だと思う。