人生はゾンビファイタースタイルで

格闘技にはゾンビスタイルと呼ばれるものが存在する。

攻撃を食らっても食らっても引くことなく前に進み続ける、タフなスタイルだ。

格闘技におけるゾンビスタイルは、個人的には好きではない。

どうしてもダメージの蓄積が避けられないからだ。

被弾が増えれば増えるほど、人間の体は脆くなる。

以前よりも打たれ脆くなり、脳の機能は低下し、一度傷を負った部位は再発しやすくなる。

格闘家のキャリアとしても、その後の人生としても、ダメージが多ければ多いほど、寿命が削られていくと考えていい。

 

自身がかつてアマチュアの競技者であったことも、この考えを持つきっかけだった。

格闘技はダメージをより多く相手に与えた方が勝つのではなく、被弾を減らし、リスクをコントロールし、試合を支配した選手が勝つものだ。

 

しかし、人生は別である。

メンタルは脳のように受けた損傷を回復できないわけではない。

大きなトラウマは精神に深く傷を残すが、立ち直れないわけではない。

何度ダメージを受けても、ときにダウンしても何度でも前に歩き続けることが大切なのだ。

最終的に相手をノックアウトすればいい。

人生は12Rではなく死ぬまで続くのだから。

 

ゾンビスタイルでもディフェンス技術がないわけではない。

上まで勝ち残れる選手は、相応のディフェンススキルを持ち合わせている。

被弾が多くても、致命傷を貰わない。

受けてもいい攻撃と、受けると深刻なダメージになる打撃を判断して後者だけは捌く。

攻撃を食らうときには、少し急所や芯を外したり、受け流したりする。

綺麗に攻撃を避けることだけがディフェンスではない。

これは人生でも同じだろう。

ゾンビスタイルで、でもダメージを減らし、致命傷だけは貰わない。

この心がけが大切だろう。