猿田彦珈琲がやばい(いい意味で)
スペシャルティコーヒーは生豆か全てで、いかにクオリティの高い豆を仕入れられるか、という勝負になる。
標準化された焙煎基準でカップクオリティを審査するのだから、焙煎技術の重要度は小さくなる。
すると、資金力で殴り合うか、独自のブランド価値を構築する必要に迫られる。
かつては丸山珈琲が前者の大きなプレイヤーだった。
丸山珈琲は小売だけではなく、卸のインポーターとしての役割も持っていたので、スケールメリットが効くのと実店舗はプロモーションとしての側面を兼ねていた。
しかし、最大プレイヤーの丸山珈琲が実店舗を縮小して通販にかじを切った。
その結果、猿田彦珈琲が大手プレイヤーとして存在感を出せるようになった。
簡単に言うと、スケールメリットでクオリティの高い生豆を売っている。
小規模なコーヒー店ではとても太刀打ちできない値段で。
スペシャルティコーヒーは、かつては単一農園を小規模なロットから取引できる小回りの効くプレイヤーの市場だった。
それが規格化されて、資本力と効率化でぶん殴れる市場へと変遷しつつある。
これからの小規模なプレイヤーはスペシャルティコーヒー的な商売をしていては生き残れないかもしれない。
元々、スペシャルティコーヒー業界では後発だったはずが、あっという間にスペシャルティコーヒー業界のトッププレイヤーに躍り出てしまった。
スタバやドトールと同じジャンルだと思っていたが、いつの間にか丸山珈琲に取って代わる存在になった。
国内には複数の生豆卸があるのだが、猿田彦珈琲は丸山から買い付けていると思われる。
扱っている豆が酷似しているし、COE系は丸山が最大手だ。
それ以外からも仕入れていると思うが、この辺りの輸入は資本提携している伊藤忠のノウハウが活きる。
かつては伊藤忠がふつうのカフェチェーンを買ったものだと思ったのだが、コーヒーの輸入にシナジーがあると見越して買ったのは凄い。
焙煎技術についても、高い水準にあると思う。
府中の焙煎工場への投資に加えて、優秀な焙煎士を雇っている。
スペシャルティコーヒーはある程度火力が大きい焙煎機の方がうまく焙煎できる傾向にある。
大胆な戦略がうまく噛み合いつつある。
ちなみに、いま現在(2021-04-02)、猿田彦珈琲ではパナマのエスメラルダ ゲイシャ noria naturalが売られている。
エスメラルダゲイシャといえばやたら褒め称えられる最高級農園の一つなのだが、エスメラルダでもいくつかのグレードがある。
3段階に別れていて、90点以上のカップクオリティ、だいたいCOE各国トップ1-3くらいに入るものはエスメラルダ スペシャルというブランドで、それは大層な高値がつく。
基本的にカッピングのスコアより割高なブランド料が乗る。
じゃあこのnoriaとはなんなのか、というと、既存のブランドは主にダイレクトトレードで取引されるもので、既存の3ブランドには属さないものという枠組みらしい。
エスメラルダについては別記事に書いてもいいが、メモ的に残しておく。
カッピングが平準化された現代では、エスメラルダ スペシャル 以外のゲイシャはCOEの各国トップよりはやや劣る、その割に割高というのが個人的な印象なのだが、猿田彦珈琲ではエスメラルダの割に安く飲める。