テレンス・クロフォードvsショーン・ポーター 感想

クロフォードというボクサーが未だに理解できない。

見れば見るほど分からなくなる。

このボクサーは見えているものが他とは違うんだろうなという数少ない選手。

 

この試合のポーターは本当にいいボクシングをしていた。

ポーターは格下相手には抜けた試合をするものの、ここ一番では抜群のコンディションを作り上げてくる。

今回も過去トップくクラスの仕上がりだった。

そして、仕上がりのいいポーターは超一流が相手でも相手のボクシングを破壊して自分のボクシングを展開する。

この試合もその瞬間が訪れるまではそうだった。

 

ポーターを個人的に黒人版パッキャオや八重樫東の進化版だと思っている。

小柄でリーチに劣るものの、圧倒的な運動量から飛び込んで連打を浴びせる。

強靭なフィジカルで相手をロープ際まで押し込める。

出入りの際も工夫があって制空権の入り際を狙わせない。

この試合でもポーターの良いところが十分に出ていて、後半までクロフォードは押し込まれる場面が多かった。

過去数戦で最も苦戦した試合だった。

そう思っていたら唐突な幕切れ。

前線のブルック戦もそうだったけれど、なぜそのタイミングのそのパンチで決められるのか理解ができない。

 

ポーターのバテてくる後半に勝負を決める。

これはスペンス戦でもそうだった。

でも、あのスペンスがKOできなかったポーターをそこまで特に効かせる場面を見せないままKOまで持っていくとは。

一度ダウンを奪ってからの詰め方は本当に素晴らしかったし、変幻自在なスイッチを今回は封印してサウスポーで距離をとったのも分かる。

でも押し込まれていて、パンチを当てられる。

自分のパンチが当たっても屈強なポーターは効いた素振りを見せない。

息が上がって疲労を見せていたわけで。

 

クロフォードは現役ボクサーではかなり好きなんだけど、今回のポーターは本当によかった。

抜群の仕上がりも、見せたパフォーマンスも、2度目のダウン後の悔しがり方も、試合終了後の呆然とした表情も、全てに魅力があった。