これは決まったことに驚いた。
ここ数年のパッキャオは徹底して強い相手を避けていたので、もうまとまなマッチメイクは望めないものだと思っていた。
もしかしたら、スペンスの交通事故の後遺症が思いのほか酷いキース・サーマンパターンかもしれない。
パッキャオ陣営の対戦相手を見極める能力は非常に高く、サーマンは過去の栄光の割に度重なる怪我とブランクで実力を発揮できない美味しい相手だった。
もしくは、パッキャオがまた金銭問題に陥っていて大金が必要になったか、政治家として集票する必要があり、ビッグマッチが必要になったか。
いずれにせよ、パッキャオがこのタイミングでスペンスとのマッチメイクを受けるとは思ってもいなかった。
PBCに移籍して実現させたということで、アルヘイモンの手腕は見事である。
対するスペンスは、万全であればパッキャオが過去に戦ってきたウェルター級のどの相手よりも強い選手だと思っている。
それこそメイウェザー以上に。
メイウェザーパッキャオ時代はナチュラルウェルターの強い選手があまり居らず、下から上げてきた選手の溜まり場になっていた。
その点、スペンスはナチュラルウェルターで階級屈指のフィジカルを持ち、対戦相手の質も申し分ない。
普通にやればスペンスの勝ちだと思うが、パッキャオがスペンスの圧力をどれだけ捌けるかという試合になると思う。
かつてのパッキャオは左ストレートと右フックで倒し屋のイメージがあったが、ここ数年はストレートすら見せパンチとして使う老獪なアウトボクサーとしての戦い方にシフトしている。
スペンスは圧力は強いものの、ベタ足気味のファイターでそこまで追い足のある選手ではない。
パッキャオに似た小兵連打型のポーターも、アウトボクサーというよりポーターから向かっていくファイターであった。
どれだけスペンスがリングカットしてプレッシャーをかけられるか、パッキャオのうるさい連打をブロックできるかという戦いになりそうだ。
パッキャオが勝てばSライトでマイキーとしてもいいし、ウェルターでポーターやガルシアといったPBC定番選手と試合してもいい。
でもスペンスが勝ってもなかなか展望が見えてこない。
最強決定戦のクロフォード戦は全く決まらないし、あとはSライトを統一したテイラー戦が決まるといいくらいだろうか。