WBA謎王者一覧(2021/05/02時点)

ウィキペディアで世界王者一覧を眺めていると、WBAは相変わらず王者3人体制を敷いており、当然ながら意味のわからない王者がたくさん存在する。

 

ヘビー級休養王者マ ニュエル・チャー

まだいたのかお前、と思ったが、それもそのはず。

2017年から試合すらしていないのだ。

今は2021年だぞ。

王座決定戦に勝ってから、一度も試合をしないまま王座を保持し続けている。

現役ヘビー級最長の在位期間である。

しかも最後の王座決定戦で勝ったあと、ドーピング検査に引っかかってそのままである。

もう練習すらしているのか不明。

繰り返すが現役ヘビー級王者最長の在位期間である。

ファイトスタイルはガードを上げて何もしない。 

もしくはガード上げたまま相手の懐に入り、何もしないかクリンチをする。

たまにガチャガチャ連打を放ってクリンチをするが、試合のほとんどが何もしていない。

ジョン・ルイス時代の古き良きヘビー級の伝統を受け継ぐボクサーである。

 

ヘビー級レギュラー王者 トレバー・ブライアン

クリチコ、フューリー、ジョシュア、ワイルダーに狩り尽くされたヘビー級において、未だ全勝の世界王者。

そんな奴いるのかと思うかもしれないが、それもそのはず。

2018年にWBA暫定王座を獲得後、今年の頭まで試合をしていなかったのである。

チャーに次ぐ2番目の在位期間。

さすがヘビー級の世界には魑魅魍魎が蠢いている。

今年頭の初防衛戦も、5年間未勝利で2年ぶりの試合のバーメイン・スタイバーンに勝っただけである。

スタイバーンもまだ現役やってたのかよ。

スタイバーンはフューリー以外に唯一ワイルダーと判定まで行った選手である。

再戦では吹っ飛ばされたが。

この人もドーピング経験者。

ボクシング、それもヘビー級ではドーピングなんて当たり前なのである。

全勝で無名ゆえ、ビッグマッチを経験しておらず、当然映像もあまり残っていないのだが、少ない映像を見る限りヘビー級にしてはかなりマシな動きをしている。

それなりに足が動き、頭が動き、ジャブが出る。

クネクネの軟体系ボクサーでもある。

なお、最新(2018年)のタイトルマッチではかなり太っており、もうまともなトレーニングをしていないことが伺える。

現役の全勝ヘビー級王者ながら、もう既に過去の選手である。

マイクタイソンに勝てるかも怪しい。

 

 

Lヘビー級暫定 ロビン・クラスニキ

なんとこの選手、51勝6敗というタイ人のような戦績で、去年末に王座獲得している。

ネイサン・クレバリー、ユルゲン・ブリーマー、アルツール・アブラハム等の懐かしい選手達に世界戦で返り討ちになり、その後EBUやインターコンチネンタルなどの地域タイトルを細々と獲得してきたタイトルコレクター。

コソボ出身のドイツ人らしい。 

手を伸ばすだけのジャブが武器。

一昔前の欧州系選手っぽく、ほぼジャブだけで戦う。

あまりに単調な試合展開に、ああ、ドイツの睡眠導入剤ってこういうのだったなと懐かしい思いにさせてくれる古き良き選手。

 

Sミドル級 レギュラー デビッド・モレル

なんと4戦全勝、3戦目で世界を取った華々しいキャリアの選手である。

キューバ亡命組。

キューバトップアマの伝統通り華麗なボクシングをするのかと思いつつ、最近の長身系メキシカンみたいな戦い方をする。

王座獲得の試合は、WBAのSミドル級ゴールド王座であったレノックス・アレンに判定勝ち。

WBA暫定である。

アレンなんて聞いたこともないが、この人も全勝のベテランであったらしい。

そして初防衛戦、モレルが体重超過をやらかす。

にも関わらず王座剥奪されず、体重差を活かしたファイトでKO勝ち。全体的にWBA感溢れる選手。

今年頭に暫定からレギュラー王者に昇格(大した違いはないが)

 

 

ミドル級 スーパー王者 我らが村田諒太

ヌジカムやブラントといった一流半から二戦級の選手と勝ったり負けたり。

圧倒的な政治力で再戦をモノにしてきた。

ミドル級のトップどころとは別リーグで孤軍奮闘している。

長らくレギュラー王者だったが、カネロの返上に伴いS王者へ昇格(大した違いはない)

ビッグマッチ志向らしく2019年末から防衛戦を行わず。

ちなみに最後の防衛戦の相手、スティーブン・バトラーはこの前27勝10敗の相手に負けた。

 

ウェルター級レギュラー ジャーマル・ジェームズ

層の厚いウェルター級にもWBAにはマイナー選手の椅子がある。

去年にランキング10位の選手と暫定王座決定戦を制している。

パッキャオが休養王者になったおかげで暫定からレギュラーに昇格(違いはない)

細長く、ガチャガチャした連打が持ち味。

脚と頭がよく動く。チョップ気味の右の打ち下ろしとオーバーハンドの右が独特の武器。

強いというよりやりにくい選手。

うまく成長するとクロフォードといい勝負ができるようになるかもしれない。

スペンスには押し負けそうだ。

 

Sライトレギュラー王者 マリオ・バリオス

全勝の地味強。

これもまた強いというよりやりにくい。

まあ強いインパクトのある選手は王者になるまでに有名になってしまうのだ。

王座決定戦の後、再戦の通達があったが無視して他の選手と防衛戦している。

WBAではよくある。

ジャーボンテイ・デービスと防衛戦するらしい。

 

Sライト暫定 アルベルト・プエジョ

全勝のドミニカ出身。

たぶんトップアマ上がりだろう。

まあまあ良い選手に見える。

技術レベルが高く、スキが少ない。

サウスポーでジャブを中心にフットワークを織り交ぜ距離を維持するボクシングはさながらエリスランディ・ララ。

王者ながら、Sライト級のプロスペクトと呼んでもいいだろう。

テイラーvsラミレスの王者統一後からの転級後、更地になったSライト級を制定するのはプエジョかもしれない。 

何かの間違いで統一王者と試合をしてほしい。意外と勝っちゃいそうだ。

アメリカで見たい選手だが、最新の試合をビザの申請にミスって飛ばしたらしい。

 

ライト暫定 ロランド・ロメロ

人気階級のライト級で全勝王者

またもや暫定王座決定戦の判定に関して、WBAから再戦司令を受けるものの無視して別の選手と防衛戦をしている。

声を発しながら力を込めて強打を打つ。

どことなくプログレイスに似ているが、バランスが悪くもっさりしている。

 

ライト級未満はそもそもIBFWBOでもよく分かんなかったりするので省略(そもそも軽量級は儲からないためか王者が3人揃っていなかったりする)

WBAWBCはスットコお笑い団体なので、よく分かんない王者がいて、よく分かんないタイトルマッチが存在している。

たまに見て、よく分かんねーなと思いながら見てみると楽しいかもしれない。

 

 

おまけ(まだ無名だけど今後有名になりそうなWBA王者)

Sバンタム暫定 ライース・アリーム

謎王者というよりも、トッププロスペクトだろう。

先日、岩佐がアフマダリエフに負けたが、ライースはアフマダリエフに並ぶSバンタム級の才能に見える。

井上がSバンタムに上げたとき、階級のトップはライースになっていても驚かない。

PBCが売り出しているし、軽量級にはほぼ居ないスリックな黒人。

連打の回転もスピードも素晴らしく、ゲイリーラッセルを彷彿とさせる。

 

ライトフライ暫定 ダニエル・マテリョン

キューバのトップアマ上がり。

遅咲きのプロスペクトで、古き良きキューバスタイル。

33歳ながらスピードもテクニックも素晴らしい。

ライトフライは京口と拳四郎がトップクラスだが、マテリョンは今後大きな壁になって立ちふさがりそうだ。