ウシクが死ぬほど格好良かった。
年間最高試合候補。痺れた。
ウシクが勝てるなんて、8割以上の人は思ってもいなかったはず。
実際にヘヴィー級での2戦でのウシクを見て、ヘヴィーでは無理だなと思っていた。
この試合のウシクは、めちゃくちゃに運動量が多くて、ジョシュアとの戦いと同時に自分のスタミナとの戦い、本当にキツいマラソンだった。
最初の2Rは重量級のスピードじゃないと思ったし、実際に3R終盤くらいには動きが落ちていた。
何度も落ちてはアクセルを入れ、落ちてはアクセルを入れ、ひたすらに繰り返していた。
特に凄かったのがラスト3Rで、もう限界に近いだろうにもう一弾アクセルを入れて攻めまくっていた。
KOすら狙っている勢いで。
12Rに顔面を血まみれにして襲いかかるスキンヘッドのウシクには狂気と勇気を見た。
これはもう、本当に見事だったし、非常に感動した。
常にBサイドの男がついにヘヴィー級まで制覇してしまった。
ボクシングスキルがずば抜けているのに、なぜかウシクには不屈の精神、確固たる意志に惹かれてしまう。
判定になったときには、ジョシュアはスコアではプロテクトされがちだった分心配もあったが、心配なんてする必要もない程度に圧勝してしまったウシクがひたすらに格好いい。
対するジョシュアにも良いシーンはあった。
何よりも1発の重みが違って、ウシクの3発とジョシュアの1発が同じくらいに見えた。
どこかで一発入れさえすれば、後は畳み掛けてKOできる雰囲気もあった。
中盤には盛り返したジョシュアが倒すこともありそうだなと思った。
それをウシクがさせてくれなかった、というのは間違いない。
ジョシュアが作戦を遂行できたかというと、できていなかった部分もありそうだ。
ウシクとの細かい駆け引きでは明らかに分が悪かったが、駆け引きを無視して自分のやりたい強打を叩き込んでいたときは良かった。
チゾラがやったように、ひたすらパワーで引きずり回すことさえできれば、もっと良いシーンは増えそうだった。
中盤の苦し紛れのクリンチといい、想定どおりにいかないと揺れてしまうメンタルといい、ルイス戦で失ったものは未だにジョシュアから欠けたままなのかもしれない。
技術的に面白かったのがボディ合戦で、ウシクはジョシュアの意識を分散させるために、ジョシュアはウシクの脚を止めるためにボディを打っていた。
ジョシュアの遠くからのボディストレートは、動きのいいときのウシクは体をひねって避けていて、これはウシクと酷似したスタイルのロマチェンコには中々見られない動き。
ヘビー級のスピード感ならではという感じ。
だけど、接近してボディフックはわりと有効だった。
けれどジョシュアが自分から接近戦を避けてしまって手数は減った。
なにはともあれ、ウシクがただひたすらに見事で、男気を見せて格好良かった。
今回はそれしかない。
追記
12Rのゴングが早かった気がするんだけど、やっぱり数秒早かった。
こういうところがイギリスのAサイド。