改めて張本さんのボクシング批判は間違ってないと思う

長年ボクシングを見てきたけれど、ボクシングをやることに関しては一貫して否定的。

理由は3つあって、脳に非可逆なダメージを与えること、ボクシング界は腐敗していること、金銭的に儲からないことである。

 

まず、ボクシングはパンチドランカーという言葉があるとおり、脳にダメージを与え合うスポーツだ。

脳へのダメージは基本的に回復することがない。

脳神経の回路を再配線することで欠損した機能を補うことはあるが、一度受けたダメージは回復しない。

だから、一試合で数百発の脳ダメージを負うスポーツなんて、先進国の人は特段の事情がなければやらないほうがいいに決まっている。

ボクサーになった以上、誰も老後の心配はしてくれないし、殴り合って倒すか倒されなければ称賛は貰えない。

 

そして、特段の事情というのは、端的に言うと金である。

貧困家庭で生まれてボクシングしか成り上がる手段がない。

そんなことは日本では稀だけど、途上国には沢山ある。

サッカーであったり、格闘技であったりするけれど、正規の教育ではなり上がれない人達が世の中には沢山いる。

だけど、日本のほとんどの人はそうではないだろう。

社会保障はそれなりに整っているし、その気になれば誰でも国立大学に格安で通える。

現代であれば、プログラミングでもやったほうがよっぽど良い未来がある。

 

金の問題と腐敗の問題は繋がっている。

ボクシングはメキシコ人と黒人と白人のアメリカ人、イギリス人しか稼げない。それも男子のみ。

井上尚弥みたいな例外はあれど、金が稼げるのは中量級と言われる一般人程度の体格を持ったクラス以上である。

そして、そのクラスで優遇されるのは、ファンベースを持った選手、金を払えるファンを持つ限られた出身地の選手のみである。

そうでない多くの選手は、圧倒的に少ない機会しか与えられないし、判定になると不利な立場になってしまう。

ボクシングは1対1でKO決着もあるので、圧倒的な不利を覆す機会はあるが、その機会を逃したとき、決着は決して平等ではない。

ボクシングなんかより、UFCの方がよっぽど平等だ。(人気者に優しいところは変わらないけど)

 

そういうわけで、多くは金にもならない、そのくせにダメージだけ蓄積されるボクシングを普通の人がやるのは、あんまり良くないことだと思うし、そうならない社会の方が健全だろうと思っている。