ジャロン・エニス vs セルゲイ・リピネッツ

哀愁の漂う試合だった。

リピネッツのような、素直で愚直な勤勉型ファイターが適正階級をこえて、上の階級の選手になすすべもなく蹴散らされていくのをただ眺めているだけの、過去に何度も見た光景。

最初の1分くらいで、明らかにミスマッチなのは誰の目にも明らかだった。

その割にリピネッツは頑張っていたし、最終的に倒したエニスも見事。

多くの人が望んだ結果に収まったように思う。

エニスは今どきのスタイルで、ジャブからの組み立てとコンビネーションではなく、スピードとパワーを込めた単発を叩き込むタイプ。

効率的ではあるものの、手数そのものは減るのでリピネッツに内側に入られる場面も多かった。

エニスがポテンシャルの高い選手なのは分かるが、今日の試合からはどこまでの選手なのか測りかねる。

そういう意味では、哀愁以外の何も残らない試合であったようにも思う。