ボクシングはパンチの取捨選択の時代
ボクサーの身体能力が上がって、パンチのスピードとパワーが向上した。
それに伴って、より多くの手数を出す連打よりも、一発一発を強く速く打つことがトレンドになりつつある。
かつては何度も反復練習で身につけたコンビネーションを出す、ということがボクシングにおけるコンビネーションだったが、現代ではコンビネーションにおける連打が2発、多くても3発程度になってきている。
そのため、パンチの組み合わせの数はぐっと少なくなった。
しかし、どの場面やタイミングでどのパンチを打つのかという取捨選択の重要性が高まってきている。
それに伴って、試合の中で相手に合わせてプランを変更しつつ効果的なパンチを選び取る、瞬発的な知性が求められるようになっている。
かつてはコンビネーションの中で本命の決めパンチを打つというのも一つの狙いだったが、試合を通して本命を当てる、という流れにもなっている。
たとえば、同じ打ち方ではじめのラウンドにボディフックを当てておいて、相手がガードを下げて対応してきた中盤期以降のタイミングで状態を沈ませてガードを下げて、今度は頭を狙う。
こういうより中長期的なフェイントや布石が効果的になってきている。