チャーロvsカスターニョ

 

カスターニョがいい選手だった。
この試合は距離の取り合いで、接近して戦いたいカスターニョと中間距離から遠い間合いで戦いたいチャーロ。

間合いに関しては、ほぼカスターニョが握っていた。
8割くらいカスターニョがチャーロをロープまで下がらせていたように思う。

カスターニョのスタイル自体は現代的ではない。
フック連打の選手はパワーとスピードの向上に伴いカウンターを合わされて消えていった。

カスターニョが良かったのは、パンチを打つタイミング。
距離を詰めるまでは連打を出さないで、ジャブやオーバーハンドなど単発でプレッシャーをかける。
ロープに詰めて勝負ができるタイミングになってからようやく連打をかける。

他にもガードが高かったり、頭を振ったり、効かされるとひたすらサバイブに徹したり、残り10秒になると必ずラッシュをしかける辺りにボクシングの巧さが感じられた。

たまに顔を丸く撫でるような仕草をしていたが、ガードの意識を高めるのに良いのかもしれない。

反対にチャーロは良くない試合だった。
距離を取りたいあまり、バックステップを多用するけれど、簡単にロープに詰められる。
途中、中間距離でジャブを使ってカスターニョを突き放そうとしていた時は良かったし、駄目な試合でもちゃんと効かせる場面を作れていたのは良かった。
ただ、引き分けではあるものの負け試合であることは確かだろう。
チャーロは遠い間合いだと強打が打てるけど、近距離だと微妙。
ロープに詰まったときに、ショートアッパーでもあるとまた違う展開があったのかもしれない。

判定に関しては、採点していたわけではないものの、ややカスターニョ有利な印象。
117-111チャーロってのは明らかに政治的な意図が入っているし、118-110カネロくらいの採点だろう。

再戦があるかはともかく、再戦したときはチャーロ側の対策次第で決まるように思う。
カスターニョは誰とやっても基本的にスタイルが変わる選手ではないだろうから。