レザークラフトは仕事にしない

レザークラフトは仕事にしない

最近、革にハマっている。
凝り性なので、製品の革のスペックから気になって色々と調べている。
欲しいものが売っていなかったので、自分用に簡易加工して作ったものもある。


革製品はやまほどあるが、自分の作りたいものを作るには自作するしかない。
この先にレザークラフトを商売にする、という道がある気もするが、これは全くやりたくない。


理由は2つ。
1. タダでもやりたい人が多い
2. 作家性が低い

 

1について。
レザークラフトという趣味があるように、タダでも革製品を作りたいという人が多い。
しかもレザークラフトをやっている人の中には、腕もセンスも良いのに、値段は安い商品を売っていたりする。
ここと競争するのは、本当に割に合わない。

 

2について。
タダでもやりたがる人が多くても、売れっ子作家になれば1つ辺り利益が100万円でも売れる、というのならまだ良い。
でも、革製品はそうではない。
あの人が作っているから金に糸目をつけずに買いたい、なんて人はあまりいない。
あくまでスペック売りで、○○という革を使っているから良い品なんです。
という売り方をしている。
それだと、同じスペックのものをより安く売れる人とは勝負に負けてしまう。
そもそも、そういう戦い方をされる市場はそれだけで美味しくない。


一応、革製品にもブランドがあって、その最上位はエルメスとかのラグジュアリーブランドがある。
でも、そういう所は製作とデザインと販売と広告など多くの分野が細分化され、商業化されているので、一人の作家が作品を作るレザークラフトの延長線上にはない。


タダでもやりたがる人がいて、作家性が低くスペック売りができてしまう。
こういうのは美味しくない市場の典型だ。
スペシャルティコーヒー業界なんかもその一つだと思う。


もし、自分がレザークラフトにどっぷりハマるなら、どういう路線で食っていくだろうか。
少なくとも既存の売れ筋商品は扱わない。
財布とかカバンとか。
もっと実用性のないものを、素材のスペックも公言せずに、他の作家と比較すらできないものを作る。
たとえば革製のオブジェとか、ただ手触りが気持ちいいだけの握って遊ぶものとか(これは単純に自分が欲しい)。


芸術や工芸分野では、実用性がないものに高値が付く。
実用性では大量生産の工業製品に勝てないし、コスパでは比較にならない。
そもそも、そういうものと比較すらできないものを作らないと、スペック競争に晒されてしまう。


市場構造や産業構造が利益を決定するので、儲からない構造には入り込まないことが大切だ。