旅行の効用

ふと思い立って旅行をしていた。

行ったことのない土地に、何の予定も立てずにふらっと滞在していた。

これがとても良かった。

全く知らない土地での生活は、全てが新鮮で、慣れと日常から切り離された毎日だった。

RPGのダンジョンマップみたいに、真っ白で何も描かれていない地図を自分の足で明らかにしていく感覚。

ただ街を歩くだけでも、全てが新鮮さに満ちている。

 

 

必要最低限の荷物は、同様に必要最低限の習慣をつくる。

我が家での生活は、より良い生活のために肥大したルーティンと、日常のやることばかりが積み重なっている。

そこに楽しみは存在せず、義務感だけが募っていく。

知らず知らずのうちに背負っていった義務の重さに押しつぶされそうになる。

 

旅は知的好奇心を満たしてくれるとともに、日常を相対化してくれる。

日常のど真ん中にいるときには気づかなかったことと距離を取り、考えられるだけの余裕をくれる。

強制的な日常との切断は、癒やしを生んでくれる。

 

人々がコロナを恐れなくなり、旅行者が歓迎されるようになった。

これからも、定期的に旅行に行きたいと思う。

旅行なんて、どうせその時だけのことで、元に戻ればいつも通りの代わり映えのない日常がやってくると思っていたが、それでもやはり休暇と相対化は価値のあることだと思った。

と同時に、旅行の持ち物や飲食店の探し方、宿の選び方はブラッシュアップしておきたい。