ジェブジェニジス・ラッキー・アンドレジェブスというボクサーがいる

Jevgenijs Andrejevs

10勝113敗3分、ラトビアの40歳のボクサーである。

現在34連敗中。一つの引き分けを挟んで、49試合勝ちから遠ざかっている。

ここ数年はコロナ禍のためか試合ペースは落ちているものの、2018年あたりは月1ペース以上で負け続けていた。

https://boxrec.com/en/proboxer/286724

 

プロボクシングのキャリアで100戦以上なんて、メキシコの伝説チャベスシニア並みじゃないか。

しかも113敗もしている。

しかし、113敗のうち、被KOはたったの18。

普通のキャリアなら尋常ではないのだが、このレベルにしては被KO率は15%と非常に低い。

日本によく来ていたかませ系タイ人ならあっさりと倒れてお金をもらって帰るのだが、この選手の場合、見事に判定まで行くのである。

 

この異常なキャリアを見るだけではこの選手の魅力は半分程度しか伝わらない。

youtubeで試合を見てみると、アンドレジェブスのボクシングの特異な技術が見て取れる。

まず非常に柔らかい体。

およそ減量なんてしていなさそうなぷよぷよ体と、それとはまたべつの軟体的な柔らかさを持ち合わせている。

最近は減ってしまったが、相手の打撃を吸収するような軟体系ボクサー。

しかも、脚がそれなりに動き、頭は非常に良く動く。

しかもサウスポーである。

やりにくいことこの上ない。

パンチにはスピードも手数も力強さもないが、打つときには同時に頭を振るため被弾もまた少ない。

対戦相手としては、リスクが少なく確実に勝てるということで、デビュー僅かの有力株のかませ犬として引っ張りだこであることがよく分かる。

youtubeには彼の試合が多数アップロードされており、下手な世界チャンピオン以上に試合が見られるという稀有なボクサーだ。

 

嫌らしい、KOされない、しかし弱い。

なにが彼を駆り立てているのか、なぜリングに立っているのか、全くわからないが、彼の立ち振る舞いやボクシングスタイルには魅力がある。

これからも気が向いたら彼のボクシングキャリアを追いかけていきたい。