デビン・ヘイニーvsユリオルキス・ガンボアが面白そう

ガンボアプロデビューから全盛期あたりをリアルタイムで見ていた。

当時のガンボアはステップワーク、特に出入りのスピードがとても早く、ノーガードからステップインして連打をまとめて相手の射程からステップアウトする。

この一連の流れが早く、それでいて強打を持っていたため階級を席巻していた。

その反面、ノーガード故に相手のパンチを貰いやすいのとパンチの精度があまり高くなかった。

 

階級を上げてからは攻撃力と相手の耐久性が上がったこともあり、ガンボアの連打の途中で返されるカウンターに苦戦した。

ディフェンスはステップが主で、ガードやパリーはほとんどなくボディワークで避けることになる。

反応は悪くないので一発目は避けられるものの、2発3発とまとめられるうちに対応できなくなる。

 

クロフォードに連打途中とステップ際にカウンターを合わされまくって負けて以降は低迷期を迎えるわけだが、ジェイソンソーサ戦あたりからファイトスタイルが変わった。

ガードを高く上げ、得意の連打を抑えてジャブを丁寧に差していくスタイル。

増量と加齢でかつてほどのスピードはないものの、一瞬の差し合いなら依然トップクラスの選手だ。

新しいスタイルに馴染んできたところで、ジャーボンテイ・デービスとの新旧スター対決。

役どころとしてはデービスの高給かませといったところだろうか。

しかしぼくは新スタイルのガンボアに大きく期待していた。

一発の差し合いの中でチャンスが来ればまとめる力がある。差し合いのスピードならデービス相手にも引けを取らない。 

当時は井上相手にドネアが善戦していた。

キレのあるステップワークを捨てて、フックをぶん回すしかしなくなった高給かませドネアと比べたらポテンシャルも技術的向上もガンボアの方が遥かに上だと。

 

しかしガンボアはやらかした。

ガードを捨て、連打の打ち合いを挑み、いつも通りのガンボアは早々にダウンを取られた。

アキレス腱を痛めたとかで、クリンチ相撲スタイルに切り替えたのは想像以上に効果的だったが。

 

そういうわけで、ガンボアの弱点と階級の壁、進歩と落胆を追ってきたファンとしてはヘイニー相手にどれだけガンボアが魅せてくれるのか楽しみである。

ジャブとクリンチを多用したジョンルイススタイルでメイウェザー二世最有力候補を塩漬けにしてベテランの深みを見せてほしい。

 

とはいえ、ヘイニーはジャブの距離が長いし出入りを丁寧に叩く冷静さも持ち合わせているので厳しい気もするな。

 

ヘイニーはショートパンチやクリンチ際の攻防がメイウェザーほど優れてなくて、細かいステップで距離を上手く保って中長距離でメイウェザーリスペクトな動きをしている。

ステップ自体はパーネルウィテカーに近いように思う。

ステップアウトが早いけど、ステップで対処できなくなると雑なクリンチしかなくなる。

ガンボアが単発の差し合いに勝てるか、そこから懐に入ってショートレンジの攻防に持ち込めるかの戦いになる。

鍵はクリンチ際の攻防か。

この辺りはデービスなら簡単に攻略できそうに思えるが、この二人が戦うことはないだろう。

 

この辺りの若手ではシャクール・スティーブンソンが一番魅力的だと思う。テオフィモを含めても。

スピードがあって、ガードワークも悪くなく、ショートレンジからロングレンジまで強打・連打を打つことができる。

タイプ的にはスペンスに近い。ショートレンジでもスタンスを崩さずに打ち勝てるのも魅力的。

穴がなく質実剛健だ。

体が小さいのがライト~ウェルターを主戦場にするには不利というところか。

 

直近の井上の試合はそこまで興味がない。

バンタムは層が薄いし。

マロニーちゃんが同郷のホーン先生みたいにゴリゴリの相撲レスリングで井上のステップするスペースを潰せるか。

ウシクやデービスの試合のほうが楽しみ。