一生モノの生地、麻

ぼくはいつからか、麻が大好きになった。
肌触りがとても良いし、丈夫だし、すぐに乾いてくれる。


夏の服はほぼ麻しか着ていない。
靴下も麻だ。
シーツもバスタオルも麻だ。


最近は一生モノや長く使えるものにハマっている。
自分がそこそこおじさんになってきたので、自分とともに年月を重ねてきたアイテムを見ると、愛着感を感じるようになった。
これから先のことを考えたとき、同じように年月を重ねていけるものを身の回りに置きたいと思っている。


麻が一生モノかどうかはさておき、様々な布の中で最も長持ちするのが麻だろう。
100年以上前のアンティークリネンなんてものもある。
ヨーロッパではリネン生地を親から子へ受け継いで3代目、なんて文化もあるらしい。


自分の場合を考えてみても、5年以上着ている麻のシャツがある。
バスタオルは生地を買って手縫いの麻バスタオルを作って使っている。
こちらも数年使っているが、まだまだ現役だ。


自分で使って感じたことは、一生モノの麻として、まずはバスタオルが良いのではないかと思っている。

服は流行り廃りがある。
服に使う麻は細番手で薄い生地を使うし、カバンや椅子と擦れてどうしても破れやすい。

それに対してタオルは服ほどの細番手でなくても良いし、繰り返し固いものと擦れることもない。

麻のタオルは吸水性が高く、すぐに乾いてくれて、生乾き臭もつきにくい。
綿のタオルはパイルが潰れて使うほどにガサガサになるのに対して、麻のタオルは使えば使うほど生地がなめらかになっていく。


なぜバスタオルが良いのかというと、傷んだら小さくすればいいと考えているからだ。
バスタオルが破れたり汚れがひどい場所ができたら、小さく切ってフェイスタオルにする。
それも駄目になればハンカチにする。
なんてことができる。


もっというと、シャツからフェイスタオルを作ったり、シーツからバスタオルを作ったりもできる。

 

麻のバスタオルを作るときにおすすめの生地を書いておくと、50-60番手の平織りの生地がいいと思う。
色んな番手や織り方の生地を使ってきたけれど、30-40番手だとちょっと固い。
体を拭くには問題ないけど、髪を拭くだけの柔らかさがない。
かといって、これ以上番手が細いと生地が薄くなってタオルとしては扱いにくい。
綾織は平織りよりも水分を吸いにくいし、経年変化の滑らかさが少ない気がする。

番手が細めだと面積あたりの給水量が減るのでその分大き目に作ると良い。

生地屋さんによっても耐久性に差があるので、麻に強い生地屋さんから買うのをオススメする。

麻のタオルを自前で作ると、1枚あたりの単価はそこそこする。
でも、綿のタオルよりもずっと丈夫で長持ちするし、使い勝手も良い。
何年も使ってハンカチにリメイクしたりすることを考えるなら、長い目で見るととても安い。

ぼくは麻以外のタオルを買う気にならない。
麻はすぐに乾くので少ない枚数を使いまわしてもいいけれど、一生モノとして使うなら少し多めに持っていてもいいと思う。
一回使うとハマって色んな麻を試したくなるし、服や靴と同じようにローテーションして休ませながら使うほうが長持ちするはずだ。


一生モノの生地入門としての麻。
タオルはとてもオススメ。

麻にも色々と種類がある。
ぼくは今のところタオルにはラミーとリネンを使っている。
服はヘンプ(大麻)のものも着ている。
大麻はファッション業界で流行りの素材で、環境負荷が少なく作れてリネンよりも丈夫らしい。
たしかに、洗いたてはバリッとした手触りで繊維の強さを感じる。
今はヘンプを買える場所は少ないし、価格も高いので試してないけれど、普及して安く買えるならヘンプのタオルにも挑戦してみたい。

あとは一生モノのリネンシーツを手作りもしてみたい。
今は既製品のリネンシーツを使っているのだが、より良い生地でリネンシーツを作りたい。
シーツとしての寿命を終えたら切り出してタオルにしたりハンカチにする。
そうすれば本当に一生使うことができそうだ。
ただシーツはタオルよりも作るのが難しいし、何よりも大量の生地を使うのでめちゃくちゃコストがかかる。
安いシルクと同じくらいの値段が掛かりそうだ。
まあ、なるべく早いうちに実現したい目標ということで。