創作の引用は遠いほど良い

創作の引用は遠いほど良い


風邪を引いて暇なので漫画を読んでいた。
読んでいて思ったのが、最近の漫画は漫画を元ネタにした引用が多い。
オマージュと呼ぶか引用と呼ぶかパロディと呼ぶかは知らない。
でも、個人的には漫画を引用して書かれた漫画というのは、とてもつまらないと思う。


ネタ元が明示されてパロディとしてやっているのならともかく、明示されていない場合は、読みながら「これはあの作品がネタ元だな」と思ってしまう。
そして他の部分があまり頭に入ってこない。


個人的には、引用の良し悪しは、距離だと思っている。
漫画と漫画は距離が近い。
漫画と映画や、漫画と写真集では距離が遠い。
漫画同士でも、日本の漫画だと距離が近いが、海外作品だと距離が遠い。
時系列による距離もある。
ネタ元が古い作品であるほど距離がある。
これらの他にも、マイナーな作品ほど距離がある。


創作に完全な新規性なんて求めていないし、パクリが悪いことだとはあまり思わない。
要は引用元との距離をうまくとってやればいいのだと思っている。
少年ジャンプの看板作品から引用して書かれた漫画はとても底が浅いと感じるが、1960年代のカルトムービーから引用して書かれた漫画は深みがあると感じる。
ネタ元を見つけたときにも、思考の放棄だとは感じず、拘りだと感じる。


一昔前の漫画家はネタ元にする漫画がそもそもあまり無かったので、他媒体をネタ元にしている人が多かった。
現代では漫画だけでもネタ元が腐るほどある。
そこから設定や構図をいい感じに盗んでくるのが、手っ取り早く作品を作る鍵になるのだろう。


個人的には、作品には作者のオリジナリティを感じたいし、尖ったものがみたい。
他の人とは違った引用元を見つけてこれる人、その感性に触れたいと思うので、引用元が遠い人のほうが好み。


引用元が近い人、というのは、最初にそう感じた時点で、その後急にオリジナリティを発揮することはないように思う。
これはもう手癖のようなもので、作品を作るプロセスがそもそも違うのだと想像している。
なので、引用元が近い人だな、と思ったら切ってもいいと学んだ。