デービスvsロメロ 感想

緊張感のあるいい試合だった。

KOの瞬間まではほぼロメロペース。

今回のロメロは過去最高に丁寧なボクシングをしていた。

遠目ではジャブとボディジャブをついて、下手に振り回さずにデービスの飛び込みを誘ってカウンターを合わせていた。

4R目あたりに潮目が変わって、フットワークを使ってサークリングをしていたデービスが攻勢を強めてサークリングをやめた。

でも、その後にロメロがいいカウンターを合わせてまたロメロペースに引き戻した。

 

今回のデービスはいつにも増して精細を欠いていたように思うし、ロメロの戦術がハマってクリーンヒットを幾つか貰っていた。

それにも関わらず決めるところで一発で決めたデービスの勝負勘と総合力には感嘆した。

 

デービスはビッグマッチを鮮烈なKOで決めて着実に商品価値を高めているし、そろそろ階級最強への挑戦が見たい。

対するロメロはここで折れるか折れないか、というところだと思う。

この手のスタイルは絶対的な自信がなければ強打が陰り、陰りが見えると相手が萎縮しなくなり、あっという間に通用しなくなる。

化けの皮とかメッキが剥がれるなんて話もあるけれど、たいてい先に剥がれるのは本人の自信と信念であることが多い。

 

あと、今回はWOWOWでは実況解説なしの現地映像と現地音声だったんだけど、これがとても良かった。

迫力があるし、現地の温度感が伝わってくる。

 

 

セミのララvsオサリバンも別の意味で驚いた。

鈍重でサークリングすらしなくなり、ロープ際に詰められて頭をつけた打ち合いをするエリスランディ・ララなんて見たことがない。

結果的にそうなった試合はあるものの、ララといえばサークリングとステップワークだったのに。

階級を上げたせいか、加齢で脚が動かなくなったのかは分からないが、かつての武器を失って、それでも尚ボクシングの奥行きを見せるララさんに感動してしまった。

ボクシングの質は落ち、かつての美しく単調なボクシングは泥臭く単調なボクシングに変わった。

かつてのリゴンドーがそうであったように。

それでも尚リングに縋り付き王者として真っ向から打ち合うララさんはメインと共に感動させてもらった。