パッキャオvsブローナー感想

この試合のポイントは、連打を通せるかどうかだった。
ブローナーはスタイル的に早い連打への対応が苦手で、直近だとマイキー相手にバカスカ通されていた。
スタイル的に連打が持ち味のパッキャオと連打が苦手なブローナーではパッキャオに分があると考えていたんだけど、ブローナーが予想以上に対応できていたという印象。

ブローナーのパッキャオ対策はおそらくメイウェザー戦を下敷きにしていたと思う。
ブローナーの対策としては

  • カウンターで連打を寸断する
  • サイドに回る動きでパッキャオを振り切る

メイウェザーは強めのカウンターでパッキャオの出鼻を叩いていたし、ロープ際に詰まってもサイドに動いてパッキャオの追撃を逃れていた。
パッキャオはサイドに動く動きに対応するのがあまりうまくない。

ブローナーは出鼻でカウンターを当てて、連打に対してはバックステップ+サイドに回ってうまく逃れていた。
序盤はクリンチやダッキングも使っていたけれど、ダッキングにパンチを合わされるようになってからは使わなくなった。
実はパッキャオは黒人が使う股関節から大きく折り曲げるようなダッキングにパンチを外されやすくて、ブラッドリー戦では的中率が低かった。

メイウェザーはロープ際でカウンター+サイドに逃げる動きをよく使っていたけれど、ブローナーはメイウェザーほどのディフェンス勘もショルダーロールも持ち合わせていない。
なのでロープに詰まると詰みがちになる。
そこで、リング中央でなるべく戦い、バックステップで2連打あたりまで躱して、それ以降をサイドステップないしダッキング、クリンチで避けていて、工夫が見れらた。

出鼻のカウンターはそこそこ機能していたし、7Rと9R辺りではロープにつまる場面が見られたものの、そこそこ対策は機能していたように感じる。
メイウェザーほど捌き切れずジャブが出にくい以上、どこかで効かせるかダウンを取らないとポイントでは勝てず、あと数歩及ばなかったという印象。

ここまでブローナー中心に書いているのは、最近のパッキャオとブローナーならブローナーのほうが魅力的なマッチメイクをしているからで、パッキャオに対してあまり好感を持っていないこともある。
ウェルター級のトップと絡まずに楽な相手と試合を組み続けるパッキャオなんて見たくなかった。
メイウェザーとの再戦も別に良いけど、ウェルター級のベルトは置いてやってほしいと思う。
いまのウェルター級はP4Pクラスが集まっているので、年老いたスーパースターの年金稼ぎにはもったいない。

7Rのブローナーのクリンチでのリカバリーは流石で、リナレスはこれがないから効かされるとそのままKOまで持っていかれるし、日本人選手にもよく見られるパターン。
黒人のクレバーなボクサーのクリンチ力には目を見張るものがある。

あと亀海喜寛の解説がとても良かった。
ポストジョー小泉は亀海ではないか。
決してフィジカルに恵まれていない中量級の亀海がサバイブしてきたのは、思考力ありきなんだなとよく分かる解説だった。
エキサイトマッチジョー小泉ロスが少し和らいで幸せな気分だった。