気品とは体力

気品とは体力
歳を取れば人間は醜くなる。
人間が歳を取ってより賢明になる、というのは一部の特別な人間の話だ。
基本的に、歳を取れば取るほど、人の精神は醜くなる。
怒りやすくなり、周りの人間に気を使うこともできなくなり、身勝手になる。


様々な理由があるが、主に体力の低下によるものが大きい。
人は余裕がなければ、周りの人間に気を配ることもできないし、他人に施すことができない。
年寄りの最も不足するリソースは体力である。


よって、より気品のある、高潔な人間になりたければ、エクササイズをする他ない。
知能の低下もエクササイズによって鍛えられる。
読書や勉強は知識を蓄えられるかもしれないが、認知リソースを維持向上させるのは、エクササイズだ。


気品とは体力、年寄りの賢明さとは物理的・肉体的な問題なのだ。
より良い精神を手に入れたければ、若いうちから継続的に肉体を鍛えるしかない。
そして、エクササイズによるより良い精神と気品の獲得は、若いうちであっても十分に有効である。

ストリートカルチャーの死、カウンターカルチャーの商業化

昔読んだカウンターカルチャーの本に、カウンターカルチャーは必ず死ぬ運命にあると書いてあった。

カウンターカルチャーは大資本に模倣をされ、ただのカッコつけの道具として資本主義に上辺だけ取り込まれていくのだ、と。

パンクの根底にあったDIY精神は、大資本に飲み込まれて、着るだけでパンクファッションとして消費できる軽薄な商品として消費された。

あらゆるカウンターカルチャーは、(社会主義共産主義を除いて)メインカルチャーに取り込まれて死ぬ。

 

 

(ぼくは五輪を見ていないが)オリンピックに取り込まれるストリートカルチャーを見ると、同様の感想を抱く。

元々は自由な精神で、競技性や権威と無関係であるところが魅力であった。

それが、腐敗と商業主義、あるいは権威の権化である五輪に取り込まれて、競技として成果を出すために幼い頃からスクールでお稽古をする。

そうして、自由なストリートカルチャーは死を迎える。

この手の話は昔からあった。

スノーボード界のレジェンドが、冬季五輪にスノーボードが組み込まれても出場を辞退していた。

確かに、マイナー競技は五輪に出れば日の目を見るし、習い事としても業界は活性化するだろう。

でも、そうして権威と資本主義に阿った時点で、ストリートカルチャーは緩やかな自殺をしている。

 

あらゆるストリートカルチャーは、こうして自らの首に金の鎖をつけて、いかにそれが美しいかを競い合うのである。

夏野菜レトルトカレー

夏野菜レトルトカレー

レトルトカレーを使った簡単な夏野菜カレー。
最近のレトルトカレーは美味しい。
でも、野菜を入れるともっと美味しい。

手軽に野菜を入れたカレーの作り方。
ポイントは、水分量の少ない野菜を使うこと。
オススメは茄子、ズッキーニ、オクラあたり。
トマトは水分量が多いので、レトルトカレーの完成された味を崩してしまう。
水分量の少ない野菜であれば、カレー全体の味を大きく変えることなく、トッピングとして食べることができる。


具体的な手順としては、タイ米をお湯で茹でるときに、空いているコンロでフライパンにオリーブオイルを引いて、適当な大きさに切った夏野菜を焼くだけ。
タイ米は茹で時間10分、蒸らし時間10分なので、お湯を沸かす時間も含めて25分あればトッピングの焼き野菜が作れる。


水分量の多いトマトは焼くよりも、くし切りにしてサラダとして食べるか、さいの目に切って生トマトとしてトッピングする方が、カレー全体のバランスを壊しにくい。

約10年ぶりにサイゼリヤに行った

サイゼリヤに行った

ミシュランの星付きイタリアンのシェフがサイゼリヤは旨いと言っていたので行ってみた。


2回行って、率直な感想としては美味しいと言えるものではないな、という感じ。
値段から考えるとコスパは確かに良い。
自分がこの値段でサイゼリヤの料理を作れるかと言えばNOだし、これを営利企業で出しているのは驚異的。


ただし料理として美味しいと言えるラインを超えてくるものはあまりなかった。


2回行って食べたもののリスト
・フォカッチャ
エスカルゴのオーブン焼き
パルマ風パスタ
・粉チーズ
・ハンバーグ
・冷製カボチャポタージュ
・チキンのディアボラ風
・焼きチーズドリア


この中で明らかに品質が高いと感じたのが、フォカッチャと粉チーズと無料のオリーブオイル。
粉チーズやオリーブオイルといった調味料は確かに良いものを使っている。
オリーブオイルを沢山使って焼いたフォカッチャもうまい。


他の料理はコスパで考えると確かに良いけれど、味付けや調理方法で美味しいとは言えない。
良く言えば子供でも食べられる万人受けする味。
個人的にはエッジがなく足りないと感じる。
粉チーズをぶっかけて食べると深みは増すんだけど、全部が粉チーズ味になるし、コスパも悪くなる。
それなら別にサイゼリヤに行く必要もないかなと思う。

まだ食べていないところだと、モッツァレラチーズや生ハムは美味しいんじゃないかと思っている。
素材そのものは間違いなく良いものを使っているし、パスタのパンチェッタも良かった。


で、サイゼリヤに行って感心したのが生産や物流の部分で、この値段で提供するにはとてつもない企業努力がある。
ちょっと調べたところだと、ドリアのホワイトソース。
オーストラリアの専用工場で作って輸入しているということだけど、国内の牛乳は高いが、かと言っては生乳を輸入すると関税が高い。
それらをクリアするために牛乳の生産大国で現地工場を作ってホワイトソースとして輸入する。
乳加工品だと関税がぐっと下がるし、オーストラリアとは関税協定で無税になるとか。
こうした工夫が沢山あるのだろうな、と言うのは分かる。


あとは、客層。
随分前にサイゼリヤに行ったとき、あまりの客層の悪さに居心地が悪かったのを思い出した。
その感想は今も変わらず、普段接することのない層が大量にいて、同じような行動範囲でもこんなに違う層が生息していたんだ、という驚きがある。
近所の大衆イタリアンとも明らかに違う客層。
タトゥー率も高い。
こうした中で食べる食事が美味しいか、と言われると、多少高くても別のイタリアンで良いような気がしてくる。
この辺りは嗜好による部分だろう。

そういうわけで、なんとなく分かったことはこんな感じ。

第8回 横浜トリエンナーレ2024 感想

自分用のメモ、かつ行った人しか分からないやつです。

 

満足度は概ね低め。

この展示のメインテーマは、「野草」ではなく「反体制・反権威・カウンターカルチャー」であったように思う。
では何故をタイトルにしなかったかというと、キュレーターの二人が中国在住の中国人だからだろう。
中国で体制批判を表立って言えば、自分と家族に身の危険がある。


この手の遠慮は至るところに見られる。
最初の挨拶で、新自由主義経済と保守主義が世界を分断し、イデオロギー対立を引き起こしていると言った文章が掲げられているが、同様に民主主義や平等の重要さを説いている。
だが、イデオロギー対立が存在するということは、新自由主義と対立する社会主義体制があり、言い換えるとアメリカと中国の対立に繋がる。
だが中国への批判は存在しない。


メインテーマに掲げられている「野草」は魯迅の作品。
魯迅中国国民党に批判的な人物で、中国共産党プロパガンダに用いられてきた人物だ。
香港の雨傘運動に関する写真展示はあれど、直接的に共産党批判をする展示は一切ない。


新自由主義経済体制は概して民主主義国家であり、政治的にはリベラルだ。
つまり、彼らの批判する新自由主義経済でなく、リベラルで平等な国家像というのは、どこにも存在していないということになる。
このことはLGBTからも伺える。
LGBTに関する展示があったが、LGBTへ寛容な国家は新自由主義経済体制である。


じゃあ全ての展示に共通する彼らのメインテーマは何かというと、単に左翼的な政治イデオロギーではないように思う。
特定の理想像を支持、あるいは特定の政治思想を批判してるわけではなく、あらゆる体制と権威に対する反発とカウンターカルチャーが彼ら真ののテーマなのだ。


その具体的な回答がアナキズムであったり、新左翼学生運動であったり、LGBTであったり、雨傘運動であったり、自給自足であったり、自主出版のZINEであったり、当時の民間の草の根的な出版運動である木版画であったりする。
その点において、現在の権威主義的で商業主義的な現代アートに見向きもしないという精神性は大いに評価をしたい。
ここは個人的に最大限の評価ができるポイントで、彼らの反権威精神には恐れ入った。


不満点としては、個々の作品のアート性と反体制運動の解答が手垢に塗れているという点だろう。

具体的な不満点を例示すれば、外国人排斥デモの映像を淡々と流す展示が幾つもあったのだが、これを品質の高い現代アートである、とはぼくは思えない。
ドキュメンタリー映像であったり、ジャーナリズムであったり、政治学の分野である。
その分野で競うべきものに、現代アートのラベルを貼って現代アートの場に持ってくるのは、詐欺的な行為であるように思う。
批判的な表現をすれば、報道映像として価値の低いものを競争の厳しくないアート分野に持ち込んで、より高い値付けをしているロンダリング行為であると思う。
(現代アートにはこの手のロンダリング行為が蔓延っていて辟易する)

他にも博物館で歴史的資料として展示するようなものを、現代アートの文脈で提示しているものが多く、現代アートの祭典としてパッケージするには不誠実なのではないかと感じた。

報道的な作品が見たければ、報道分野で関心のあるものや、品質の高いものを見ればいいのであって、アート分野で中途半端な品質の報道作品を見たいとは思えない。

(個人的な見解を言えば、外国人排斥デモも草の根的な反体制運動なのだから、学生運動と同様に肯定的に展示すべきなのでは?という感想を抱いた)

もう一つの不満点としては、彼らの提示する反体制運動が手垢に塗れたものであるという点である。
上で書いたように、新左翼学生運動だとか、アナキズムなんてのは新しくも何ともない。少し見れば彼らのやっていることも、その結末も見当がつく。
それらは歴史の文脈で語られてきた、手垢に塗れたもので、カウンターカルチャー歴史資料館を見るならまだしも、アートの祭典で安くない金を払って新しい何かが得られるという物ではない。
(中国人がカウンターカルチャーを展示するなら、寝そべり族なんて最先端のサボタージュで良いのでは、と思うがそこまで攻めきれないのが今回のキュレーターが生き残ってきたバランス感覚の良さの理由であり、つまらなさを感じる点である。)
そういう訳で、目新しい解答や試みがほとんど見られない、手垢に塗れた反体制運動展に尽きるという点では極めて退屈だ、というのが正直な感想だ。


ネットの意見を眺めていると、左翼的なイデオロギー開陳の場である、という意見があるが、ここまで述べたようにそれは的外れであろう。
彼らの真のテーマは反体制運動であり、草の根的なカウンターカルチャーである、と言える。
そこから中国共産党に怒られないように配慮をすれば、表層的には左翼的なイデオロギーに見えてしまう、というだけだ。


俺だけが真の意図を理解しているという気はないけれど、この辺りの機微の理解がない不当な批判は可愛そうだなと感じてしまう。
その反面、そんなハイコンテクストなものを大衆にぶつけるのはそもそも間違っているような気がするし、コンテクストが理解できる人にとっては逆に情報不足で退屈な展示であった。
帯に短し襷に長し。
だけど、良い点を一つだけ挙げるなら、キュレーターの反体制・反権威・カウンターカルチャー的な精神性は感じることができた。
その点がひょっとすると、唯一の、そして最も芸術的な点であったかもしれない。

 

 

追記(2024/06/10  2:47): 個人的にどうかなあと思ったのが南アフリカの作家で、未だに南アフリカと言えばアパルトヘイトが話題に出される。

でも、数日前の南アフリカの選挙を見れば分かるように、南アフリカの問題は汚職が蔓延し、失業率が世界最高水準である、という点だ。

アパルトヘイトを打倒したマンデラが率いていた政権与党が腐敗し汚職に塗れている。

政権与党はアパルトヘイト打倒を口にし続ければ選挙に勝ち、汚職によって私財を蓄えられる。

若者は最早アパルトヘイトなんて過去の出来事だと思っている。

過去最低の投票率で、国政選挙において政権与党は惨敗した。

この国の象徴が未だにアパルトヘイトというのは、あまりにステレオタイプ的な物の見方で、政治の世界に関心がないのだなと感じてしまう。

政治の領域の美味しそうなところをつまみ食いする割に、政治的に無知な面が垣間見えるのは誠実さに欠けるなあと感じてしまった。

魚のムニエルの作り方

魚のムニエル

魚のムニエルの作り方のポイント

まず、美味しいムニエルとは何か。
2つの条件がある。
1. 皮目がパリッと焼けていること
2. 身が固くならずふっくらとしていること


1の皮目をパリッとさせるポイントは3つ
1. 皮目に塩を強めに振って水を抜く
2. 皮目に小麦粉をつけるときは、小麦粉をつける→スプレーで軽く湿らせる→小麦粉をつける。という作業で多めに小麦粉をつけておく
3. 弱火にしすぎない


身が固くならずふっくらとさせるポイント
1. 皮目がパリッっとなったら、バターを入れてアロゼで仕上げる


皮目にをパリッとさせるには、水分を抜き、小麦粉を多く付け、低すぎない温度で焼くこと。
料理の基本は弱火だけど、鶏のソテーでもムニエルでも、 弱火すぎると皮目はパリッとならない。

でも、火が強すぎると身の方に火が通り過ぎて固くなってしまう。
身の柔らかさだけをとるのであれば、ごく弱火でじっくりと焼くほうが良い。

問題は、皮目をパリッとさせつつ、身はふっくらさせる、二律背反を目指す難しさにある。
皮目がパリッとできる最低限の火加減で皮目を焼き、皮目が焼けたらアロゼでふっくらと仕上げる。

できれば魚は常温に戻さない方がいい気がする。
冷えた状態だとフライパンに接する部分のみが焼けるので、一般的には生焼けになると言われがちだが、今回は強く焼くのは皮目だけなので、むしろ冷えている方が良い(はず)

以上のポイントを踏まえて、手順は以下の通り。

1. 魚に塩を振る(皮目は強めに)
2. 冷蔵庫にしまって10分くらい(適当)おく
3. 冷蔵庫から出して身から出た水分をペーパーで拭く
4. 小麦粉を見にまぶす
5. 皮目はスプレーをかけて湿らせて、もう一度小麦粉をまぶす(お好きな回数やってOK)
6. 常温のフライパンにオリーブオイルを多めにかける
7. 皮目を下にして魚を置く
8. 火をつける(火加減は皮目がパリッと焼ける強さの最弱)
9. 皮目が焼けるまで触らずに待つ
10. 皮目がパリッっと焼けたらよわ日にする
11. バターを投入
12. アロゼで溶けたバターを回しかける
13. 全体に火が通ったのを確認してフライパンから下ろす
14. 余った油でソースを作る(個人的には醤油とマスタードが好み)


こんな感じ。
感覚的な部分が大きい料理でもあるので、火加減や加熱時間は感覚的に身につけるしかない。

ソースの作り方は、フライパンに残った油でマスタードと醤油、お好みですり下ろしにんにく(無くてもOK)を加えて煮詰める。
マスタードは粒よりペーストの方が好み。
ペーストのマスタードは火を通すと香りがとても良くなる。


魚は何でも良いが、当然皮は付いているものがよい。
だいたいの魚はうまい。
鮭、鱈、鯛、鰤。
同じ魚でも厚みがある方がフライパンに安定するので、焼きやすい部位を選ぶと良い。
大抵の魚はお腹側の内臓の周りに脂肪があり、焼きやすいのは脂肪のない平べったい部位になる。
この辺りはお好みで部位を選ぶと良いが、油多めの調理法なので魚の脂が多すぎると重くなるので、脂の少な目で焼きやすい部位が好き。

あとは個人的な好みになるのだけど、旬の鰤は合わなかった。
特に氷見鰤のような高級ブランド鰤。
刺し身で食べるには最高に美味い(鮪より好き)が、ムニエルには脂が多すぎる。
この手の魚は魚焼きグリルで脂を落としながら食べる方が美味いが、脂の乗った魚の脂を落とすのは勿体ないので、素直に刺し身で食べたいところ。

ドイツのライ麦パン、プンパニッケルの紹介と食べ方

プンパニッケルの紹介と食べ方

プンパニッケルにハマっている。
ドイツのライ麦パン。
酸味があり、ダークチョコレートのような香りがする。
独特の香りと食べごたえがあって、なおかつ栄養豊富。

https://www.kaldi.co.jp/ec/pro/disp/1/0079344004609

100gあたり6.7gのタンパク質が含まれていて、牛乳(7g/100g)並み。
食物繊維も100g辺り12.9gと豊富で健康的。
上のカルディの商品写真と今(2024-05-22)の栄養成分表示が異なっていて、現行商品の方が低カロリーで高タンパクになっている。


やや扱いにくいところは、香りと味が強いので食べ合わせに困ること。


個人的にはバターと相性が良いと思う。
バターをそのまま塗ってもいいし、スクランブルエッグやオムレツと合わせたり、ムニエルと合わせると美味しい。


そのまま食べるよりオーブンでトーストすると美味しい。
他にオーブンで温める食べ方だとレッドチェダーを乗せてからオーブンで焼いて、胡椒(+お好みで塩)をかけて食べると旨い。


チーズとの相性で言えば、カマンベールやブリーチーズ等の白カビやゴーダチーズをかけてオーブンの組み合わせも試したけど、今のところレッドチェダーが最高。
白カビやゴーダだとプンパニッケルに負けてしまう。
癖の強いウォッシュやブルーチーズの方が合う気がするので、そのうち試す。


バターを使った重めのものや癖のあるものをしっかり受け止めてくれるので、フランスっぽい料理との相性がいい。
ドイツパンなので濃厚なマッシュポテトやウインナーとも合いそうだ。
こちらも試したいところ。

 

 

最後にwikipediaも貼っておく。

小さい割にやたらと重くて、賞味期限も半年以上持つから軍人の携帯食みたいだなと思っていたら、本当にドイツ軍のレーションらしい。

非常食としてもおすすめのプンパニッケル、ぜひ一家に1kg程度常備しておいてはいかがでしょう。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%AB