事業と手法は限界まで突き抜けよう

自分の商売をやる上での欠点が分かってきた。

10年ぐらい色んな事業にチャレンジしてきた。
一応なんとか生き残ってきたけれど、突き抜けた成果はない。
その理由について一つの答えを得た。

先に答えを書いておくと、うまく行く手法を見つけたら、その手法が枯れるまではひたすらに突き抜けることができていなかった。
事業や手法には寿命があり、いつか駄目になるものだ。
でも、駄目になるそのときまではそこから得られる利益を最大限引き出すべきなのだ。

経営学の教科書を読んでいると、イノベーションのジレンマのような事例がよく出てくる。
環境変化に適応できず、時代に合わせた事業展開ができなかったと。


ぼくは意外と真面目なタイプだったのか、大して稼げていないうちから、当たった手法を捨ててしまいがちだった。
この手法はいずれ駄目になる。その前に新たな手法を見つけなくては、と。
でも実際のところ、まだまだ手法から引き出せる利益は大きく残されていた。
その手法をひたすらに拡大して、横展開して、取れる利益を大きく取ってから次のことを始めてもまったく問題はなかった。

手に入れたごく小さな成功と安定を確保することが、大成功よりも重要なのだと考えたからだろう。

なんと小さな人間だろうか。


既存の手法から最大限の利益を引き出すことがなぜ重要なのかというと、事業のライフサイクルの短命化と資金余裕の重要さである。
事業のライフサイクルは年々短くなっている気がする。
特にインターネットビジネスは短命化している。
稼げるうちに大きく稼ぐほうが、5年後や10年後まで細々と稼ぐことよりも簡単なのだ。
そして、資金余裕の重要さ。
大きく稼いで資金に余裕がありながら、別の事業や手法を模索するのと、余裕がない状態で模索するのでは、成否は全く異なる。
新規事業は千三つで0.3%当たれば良いと言われているようだが、そんな掛けは余裕があるときにしかできない。
資金に余裕がなければそもそも参入できないビジネスというのもある。


これは後知恵的にこうすれば良かったと思っているだけかもしれない。
バランスを取って生き残りに特化したから今も生き残れているのだ、というのも間違っていないかもしれない。
それでも、今の考え方としては、突き抜けることを考えて、うまく行っていることはもっともっと大きくするという意識が重要なのだと思う。


成功した事業家は、やっていることはぼくと大して変わらないこともある。
ただ、その規模を気が狂ったように拡大し続けただけだったりする。
小さな規模なら成り立つことでも、単に大きくすることはめちゃくちゃ高度なスキルがいるのもまた事実なのだが。
構造的に拡大可能な事業に手を出すということが、成功の前提なのかもしれない。

 

一つ言えることがあるとすれば、成功を収めたいのなら、手法が通用するうちは手法の限界まで突き抜けないといけない。
限界が来ても横展開する余地はある。
次の事業の種銭を今の事業からたっぷりと貯めておくべきだ。

 

これは、商売だけの話ではない。

男女関係でも、他の趣味でも、突き抜けないで浅いところで投げ出してしまうのは、とても勿体ないことだと思うのだ。