他人のプラットフォーム上で商売するということ、Twitterのサードパーティクライアント締め出しについて

ツイッターサードパーティクライアントの開発が禁止された。
この事については、以前からよく考えていた。
他人のプラットフォームで商売をするリスクについてだ。

 


現在のインターネットで商売をするのに、どこかのプラットフォームに乗らないという選択はあまりない。

 


でも、他人のプラットフォームで商売をするということは、他人の一存で飯を食えなくなるということでもある。
最近のインターネット企業は、やたら気軽にBANをしてくる。
誤BANも多いが、クレームを聞き入れてくれることは殆ど無い。
確率的に運悪く事業が死ぬ、ということが十分にあり得るということだ。

 


今回のTwitter社のように、強権的に何の通告もなしにAPIの利用が停止されることもある。

 


他人のプラットフォームで商売するということは、とてもリスクが高い。
ツイッターサードパーティクライアントは、ツイッター社とアプリストアの二重のリスクを背負っていたことになる。
もしくは、広告事業者も合わせて三重か。

 


他人のプラットフォーム上で商売する際は、いかにリスクマネジメントするか、その戦略がとても大切だ。

 


分散するか、突き抜けるか。

 


分散するパターンにもいくつかある。


iOSAndroidの複数OSに分散する。
これはアプリストアのBANリスクを分散している。
しかし、Twitter社に乗っかっているというリスクは依然として存在している。


分散しても、背後に共通するリスク要因があれば、リスク分散の効果が少ないことがある。

 


じゃあ、Twitterサードパーティクライアントで得た利益を不動産投資につぎ込むという例はどうだろうか。
これは共通するリスク要因はなさそうだ。
強いて言えば不況くらいか。
しかし、あまりに2つのスキルがかけ離れているので、シナジーがあまりない。
単に違う事業を2つやっているだけ、というのは、リソースが分散して中途半端になりがちだ。
でも、共通するリスクが高いアプリストアの分散よりは、ずっとマシな選択肢だと思う。

 


この2つの中間には無数の選択肢がある。
たとえば、


・会社員とTwitterクライアント開発を兼業する
・受託開発と兼業する
Twitterと無関係なアプリを開発する
TwitterAPIは使うものの、ウェブサービスを開発する


と言ったもの。
リスクがどれだけ分散されているか、シナジー効果がどれだけあるか、適切なリスクの分散度を選ぶのが良い。
リスクの分散度とシナジー効果は反比例するわけではない。
どちらも高い、とても良い選択というのが、ぼくには思いつかないだけで存在しているはずだ。

 

 


リスク分散と対になる選択が、突き抜けるというもの。
プラットフォーマーが無視できないくらい大きくなれば、簡単にBANはできない。


例えばtiktok
アメリカで散々批判されているにも関わらず、スマホアプリのマーケットからBANされていない。
これはプラットフォーマーもBANすると不都合があるからだ。


もっとも、この選択は超ハイリスク・超ハイリターンと言える。
ほとんどのアプリやサービスはここに辿りつけない。


Twitterサードパーティクライアントではどうだったかというと、そういう存在はそもそもいない。
といえのも、サードパーティクライアント1つあたり、最大ユーザー数は10万人と決まっていた。
つまり、最初からこの道は存在しない。
と言ってもこの変更があったのは途中からなのだけど。
こういう変更が加えられた時点で、この戦略は機能せず、分散戦略に切り替える必要があるというわけ。

 


どちらにせよ、他人のプラットフォームで稼ぐということは、永続性に欠ける選択だということを意識しておかないといけない。
いずれ稼げなくなる。
そのことを念頭に置いて、一気に稼ぎきっていつ死んでもいいようにするとか、適切に分散して一つが死んでも別の食い扶持を用意しておく必要がある。


ぼくのような人間からすると、ただのイーロン・マスク狂想曲というよりは、肝が冷える嫌な出来事を目にしてしまったなという気持ちが強い。
この出来事を他山の石にして、気を引き締めていかねばと思った。