将来のために金を切り詰めすぎない

貯金はあるに越したことはない。

だけど、老後の安心のために若い頃の楽しみを切り詰めすぎてはいけない。

 

若い頃と老人の感受性は異なる。

五感や体力の衰えた老人では、同じことをしても若い頃の半分も楽しめない、というのはよく聞く話だ。

楽しめるうちに楽しめることをやっておくことは、人生の満足度を高める。

知り合いの初老のお金持ちは、美味しいものは若いうちに食べておけと言っている。

 

物事を十分に楽しむためには、学習期間が必要になる。

食を楽しむなら、食材や調理法の違いについて理解する必要があるし、その料理が生まれた文化を学ぶことでより深く料理を楽しめる。

歳を取ってお金に余裕ができてから、すぐに食を堪能することはできない。

若いうちから少しずつ学ぶことは、翻って老後の楽しみを増やすことにもつながる。

 

若いうちから楽しむといっても、宵越しの金は持たないと豪遊ばかりしていたのでは、早晩生活が破綻する。

良い人生に必要なのは、計画である。

ぼくがいいと思っている方法はふたつ。

1. 月の遊び予算を決めて使い切る

2. 本当に無駄な部分を切り詰める

 

1について

家計の管理でいちばん良いことは、予め予算を割り振って、その中で生活をすることである。

貯金、投資、食費、遊びなどを決まった額振り分けておくのである。

遊びにおいて大切なことは、予算をなるべく使い切るということ。

貯金や投資の予算は守れるけれど、遊びはついついやらなくてもいいかと思ってしまうことがある。

そうすると、遊びがどんどん下手になる。

上手に遊ぶためには、遊び慣れる経験が要る。

お金を使わない遊びにおいても同じだ。

予算(時間を含む)を割り振って、役所のように使い切ること。

 

 

2について

遊びといっても、人生を豊かにしてくれる遊びとそうでない遊びがある。

食を例にあげると、パティシエの技術が詰まったスイーツはぼくの人生を豊かにしてくれる。

コンビニのお菓子はそうではない。

ぼくにとっては、コンビニのお菓子というのは、満足度と費用を考えると、高くて無駄なものなのだ。

満足度の低い遊びは、なるべく切り詰めていく。

これが真の節約だと思っている。

何が自分の満足度を高めるのか理解しておくこと。

 

遊びは、長期的な視点で見ると投資に近い性質を持っている気がする。

資産を最大化することが人生の目的ではない。

充実した人生を送ることが人生の目的であり、金はツールの一つにすぎない。

金をうまく配分してうまく使うことは、金を貯めることと同様に重要なのだ。

 

老後の金の問題をあまり重視していないのは、老後の充実度と金はあまり関係がない可能性があるからだ。

感性や体力の衰えた老人は金があるからといって、そんなに楽しめない。

寝たきり生活になれば、貧乏人でも金持ちでも生活に大差はない。

金が無いと酷い扱いを受けるかもしれないが、感性が衰えているので。

死への恐怖でさえ、老人がどれほどに怯えているのかは疑問である。

つまり、老後の充実した生活は、金よりも健康に影響されるのではないだろうか。

若いうちから健康的な生活を続けること、そして楽しめるうちに楽しむこと。

これが悔いのない老後に必要なことではないかと思う。