アニメに限らず、創作物に求めるのはオリジナリティだ。
その面で、UN-GOは素晴らしかった。
坂口安吾の複数作品を大胆に現代アレンジしたミステリードラマ。
近未来の敗戦後日本を舞台にしており、安吾が活躍した戦後を再現した形になっている。
それ故に、テーマは戦後であったり戦時中の英雄であったり、右翼の人々、検閲、天皇の存在など、昭和を存分に感じられる題材が多い。
それに加えてAIやアンドロイドと言った近未来SF要素がいい感じにブレンドされている。
主人公の厭世的な態度は安吾の思想をキャラクターに落とし込んでいる。
彼の口からは(他の多くのキャラクターからも)安吾作品からの引用が垣間見られる。
たとえ誰もが傷つく救いのないものであれ真実を求める主人公と、真実よりも社会秩序を優先する体制、そして真実を捻じ曲げる存在。
加えて音楽と毎回の引きが素晴らしい。
ゼーガペインに並ぶ2大エンディングだ。
個人的に好きなのが3-4話の2話と、6話である。
昭和テイストが漂う3-4話と、体制側であまり良く描かれてこなかったライバルの人間性が漂う6話。
当然クライマックスの数話も面白い。
推理そのものはゴリ押し気味のものがあるので、推理モノとして楽しむというよりは、世界観と人間ドラマなどを楽しむのが良い。