ロードバイクやクロスバイクをカスタマイズすると、つい競技志向なカスタマイズをしてしまいがち。
軽量化とか空気抵抗とか。
でも、街乗りにそんなものは全く必要ない。むしろ害悪ですらある。
まず、なぜ軽量化は害悪なのか。
軽量化や空気抵抗を減らすことは、より少ない力で推進力を得ることに繋がる。
しかし、街乗りではそんなに長距離を乗ることを想定していないし、もちろんタイムなんて関係ない。
我々にはむしろ、この短距離が限られたトレーニング機会なのだ。
トレーニーがダンベル重量を増やすがごとく、負荷をかける方向に目を向けるべきではないか。
負荷をかけるなら平均速度をあげればいいじゃないか、と思うかもしれないが、街乗りで平均速度を上げることはリスクの増加を招く。
折角自転車に乗っているのに、事故を起こして時間や金を浪費したり、健康を害するのは本末転倒である。
安全第一で行こう。
さて、軽量化の呪縛から逃れた我々は何をすべきだろうか。
いちばんはじめにするのは耐パンク性能を高めることだ。
チューブとタイヤの耐パンク性能を上げよう。
街乗りにおいて耐パンク性能は正義だ。
パナレーサーのスーパーチューブとリブモを使おう。
タイヤはなるべく太めの快適性の高いものを選ぶ。
最近の研究では28Cでもそんなに遅くならないどころかむしろ早かったりする。
次にライト。
デカくてバッテリー持ちがよくて程よく光るものがいい。
ライトにおけるデカさは(ちゃんとしたメーカーの場合)バッテリー持ちだ。
ブレーキはあんまり軽量化と関係ないが、なるべく良いものを買っておこう。
これがカスタマイズで一番重要かも。二番はライト。
そしてホイール。
ボディもそうだが、街乗りにカーボンは不向きだ。
軽さなんて要らないし、ぶつけたらすぐに駄目になるカーボンは最悪だ。しかも盗まれやすい。
ちゃんとしたメーカーの鉄下駄ランクか、グラベル用を買おう。
スポーク本数の少ないものは耐久性が低いので避ける。
ここで大半の高級ホイールは選択肢から外れる。
高級ホイールを買うと支出が増えるし盗難のリスクも上がる。
安くて丈夫で安心安全の鉄下駄バンザイ。
ギア周りはフロントシングルの8Sがベスト。
8Sパーツは丈夫で安い。街乗り最強だ。
フロントシングル化をうまくやればチェーントラブルと修理時間が減る。
高速化を捨ててギア比を決めれば、街の殆どの坂は登れる。
あとは脚を鍛えるだけだ。
脚に自身があればシングルスピードでいいが。固定ギアは糞。
後のパーツはどうでもいいが、サドルはなるべく快適なもの。レーシングパンツなんて履かなくてもジーパンで乗れるようなものがいい。
リアキャリアや泥除けをつけてもいいし、前カゴをつけてもいい。
ペダルはビンディングなんて要らない。フラットでお好きなものを使おう。
フラットバー化してしまうのもいい。
バーテープの下に耐震マットを貼ってフカフカにするのも快適性アップだ。
自転車は自由な乗り物だ。
軽量化や高速化を捨てるだけで、支出は一気に減る。
しかも堅牢性が増し、より快適に、盗まれるリスクも減らせる。
堅牢性や快適性を増すためのカスタマイズは、なにも無意味な増量ではなく、トータルで見ると満足度をとても高めてくれる。
しかもトレーニング効果もある。
目的に合ったカスタマイズを自由に楽しむ、そういう楽しみ方をしてもいいじゃないか。